「仕事」は人生の多くの「時間」と「労力」を費やすもので、その決定は、必然的に自分の「人生」や「幸福」に大きく影響します。あるいは、「仕事」とは、時間と労力を使って、社会へ自己を表現する営みと考えるのなら、人によっては人生そのものとも言えるのかもしれません。
キャリア相談に共通して取り組んでいただくのは、自分の「性格と能力と適性」、「好みと価値観」、「自分にとって仕事とは?」ということを徹底的に掘り下げて、理解し、納得していく作業です。
時には、自分が生まれてから現在に至るまでの個人のヒストリーをうかがいながら、それを手がかりに私たちと共同・協同で自分の探求を進めていただきます。
キャリア相談の内容は大きく分けると以下の三つになります。(「ストレスマネジメント」の研修や「従業員支援プログラム」、「メンタルヘルス未然防止」や「職場復帰プログラム」などの制度体制の構築等の相談はこちらをご覧ください。)
・就活(新卒採用試験)の準備と相談
・転職活動の準備と相談
・キャリア形成の相談
就活を始めたばかりの学生のみなさんの多くは、そもそも、世の中にはどのような業界、職種、仕事があるのか、よくわからないままスタートを切っているのではないでしょうか。
専門のサイトやSNSや書籍等、情報は自分から求めればいくらでも手に入りますが、座学で泳ぎ方や自転車の乗り方を学ぶようなもので、想像力には限界がありますし、その想像力でさえ、人によって大きな差があります。
インターンを活用するのもいいかもしれませんが、インターンがすでに就活の前哨戦のようで、参加する人たちは志望する業界や企業さえ既に明確になっている場合も多いでしょう。
そして、少し話を聞いてもらおうと相談しても、先輩も、親も、親戚のおじさんも、先生も、当然ですが数えるほど(場合によっては一つだけ)しか、従事した仕事はなく、間接的に取引などの交流のある業者やなんとなく見聞きした業界のことを教える場合が多いでしょう。その場合、たまたま見聞きした時に景気の良かった業界や、わりと長い間利益を上げている会社、地方ならとりあえず、公務員か銀行を勧めるなど、とにかく伝聞やイメージになんとなく引っ張られた曖昧なお仕事の話になってしまいそうです。
「仕事」について、何もわからないのは当たり前の話なのですから、まずは、それを認めて、私と一緒に、この広大な各種業界の領域にある様々な「職種」と、そこでの様々な「業務」と「役割」を考えていきませんか?
そして、仕事についてある程度わかってきたら、自分についても掘り下げていきましょう。
始めにお話ししたように、仕事と人生は密接に関わってきます。
もちろん、自分については、自分が一番よく知っていることでしょう。しかし、自分が知らない自分のことは「他者」=「自分以外の人たち」が知っています。
自分の死角や盲点に、他者が認める「その人の才能」や「得意なこと」がある場合は多いのです(逆に、自分が考えたこともない弱点がある場合もありますが)。「性格と能力と適性」、「好みと価値観」、「自分にとって仕事とは?」という問いかけに自分だけで高い精度で答えていくことは難しいのです。
このような、自分についての軸も、カウンセリングを通して私たちと一緒に、つまり共同・協働の作業として探求を深めていきましょう。
他にも、性格を診断していくテストなども活用していきます。その人が欲するもの、必要なものはなんでも活用していきます。
「仕事の軸」と「自分の軸」の二つをしっかり探求できたら、あとは、技術的なことがほとんどです(履歴書やポートフォリオの完成や筆記試験対策、面接対策など)。もちろん、それらの部分も私たちは支援していきます。
転職活動についても、「仕事の軸」と「自分の軸」は大切です。
フルタイムで働いたことがない学生と違って、転職を考えている社会人は、世の中にたくさんの仕事があり、ある程度の業界については、なにかイメージを持っていたり、働く内容が想像できたりしています。
自分自身もキャリア形成の途上ですから、それぞれの歩み、つまり、会社はどのように業務やセクションが別れているのか、また、自分はそれを別の会社で続けるのか、変更するのか、なんとなくつかんでいることと思います。
ただし、転職に向かう気持ちがある以上は、何か不安や現状に不満や違和感があることは間違いありません。
その「不安」や「違和感」がどこからくるものなのか、探っていく必要があります。その際は、やはり、「自分にとって仕事とは?」何か、自分の原初的な欲求や、原点の動機を深く探っていくアプローチは必要です。カウンセリングを通して、今一度「自分について」考えていきましょう。
また、自分が今までしてきた仕事と異なる仕事や業務への転職の場合は、手持ちのカードをよく点検する必要もあります。中途半端な道を歩んできた、スキルは複数だがどれも弱い、裁量が少なく狭い範囲の仕事だったので他の仕事ができないのではないかと思う方々もいるでしょうが、別の職種から見れば、まさにその能力が必要だったという場合も考えられます。
そのあたりも一緒に考えていきましょう。
転職を考えたりする以外にも、私たちは、長いキャリア形成の途上で何度も何度も立ち止まり考える機会が出てきます。
長期間安定したパフォーマンスができるようにスキルをどのように構築していくのか、役割としては、現場で活躍し続けるプレイヤーなのか、それとも後進の育成や管理を担うマネージャーなのか、あるいはプレイングマネージャーなのか。どこを目指していくのか。
ライフステージが進んでいく中で、仕事の位置づけもじっくりと考えていかなければなりません。結婚、出産、子育て、離別、など、人によって人生のイベントの種類や数も違いますが、それらと仕事をどのように両立していくのか、あるいは、しないのか。考えていかなければなりません。
かと言って、キャリア形成をめぐる問題はシリアスでタフです。考え事で頭がいっぱいになっても、普段の仕事に支障が出てしまいます。
最終的に、自分の決断に納得ができるように。
他人から見た仕事の充実や幸福などに左右されない、悔いのない選択ができるように。
ときどき、立ち止まって、私たちに相談してください。